
こんにちは、アザミです。
ふと手にした一枚の絵が、まるで魔法のように部屋の空気を変えてしまう、そんな経験はありませんか?
私自身、アートの世界に足を踏み入れたきっかけは、一枚の抽象画との出会いでした。
ただ、いざその絵を家に持ち帰ってみると、「あれ、どこにどうやって飾るのが正解なんだろう?」と、途端に大きな壁の前に立ち尽くしてしまったんですよね。
絵画の飾り方というのは、知れば知るほど奥が深く、それでいてもっと自由でいいんだと気づかせてくれる、とてもクリエイティブな作業だと感じます。
この記事を読んでくださっているあなたも、きっと同じような期待や、ほんの少しの不安を抱えているのかもしれませんね。
最適な場所はどこだろう、理想的な高さってあるのかな、と考え始めると、意外と手が止まってしまうものです。
おしゃれなインテリアへの憧れはあるけれど、全体のバランスをどう取ればいいのか、照明はあった方がいいのか、そもそも賃貸の壁に穴を開けても大丈夫なのか、など悩みは尽きません。
特に、複数の絵を飾りたい時や、ぴったりの額縁を選ぶ段階になると、その組み合わせは無限に思えて、かえって一歩が踏み出せなくなることもあります。
でも、心配はいりません。
いくつかの基本的なコツを知るだけで、あなたのお部屋はもっと自分らしく、心地よい空間に生まれ変わるはずです。
この記事では、専門家として教えるのではなく、アートを一緒に楽しむ仲間として、私が学んできた絵画の飾り方のノウハウを共有していきたいと思います。
一緒に、あなただけのアート空間を創り上げていきましょう。
- 部屋の印象を決定づける絵画を飾る場所の選び方
- アートが最も美しく見える基本的な高さの基準
- 空間全体が洗練される絵画とインテリアのバランス術
- 作品の魅力を引き立てる額縁選びのポイント
- 賃貸住宅でも壁を傷つけずにアートを楽しむ方法
- 複数の絵画を組み合わせるおしゃれなレイアウトテクニック
- アートを際立たせる照明の選び方と使い方
おしゃれな空間を作る絵画の飾り方の基本
- まずは飾りたい場所を決めることから
- 心地よい高さを意識した配置のコツ
- 空間全体のバランスを考えてみよう
- インテリアと調和させる額縁の選び方
- 絵をより魅力的に見せる照明の効果
まずは飾りたい場所を決めることから
絵画を飾ろうと思った時、一番最初に、そして最もワクワクするのが「どこに飾ろうか?」と考える時間ではないでしょうか。
この「場所選び」が、実は絵画の飾り方における、とても重要な第一歩になるんですよね。
なぜなら、飾る場所によって絵の見え方はもちろん、部屋全体の雰囲気や、そこで過ごす私たちの気持ちまで、大きく変わってくるからです。
まずは、家の中をゆっくりと見渡してみてください。
あなたが一番長く過ごす場所はどこでしょうか。
あるいは、お客様が来た時に最初に目にする場所はどこでしょう。
そういった視点で考えてみると、自然と候補が浮かび上がってくるかもしれませんね。
リビング:家族と過ごす中心的な空間
リビングは、家族が集まるだけでなく、お客様をもてなすことも多い、家の顔ともいえる場所です。
だからこそ、リビングに飾る絵は、空間の印象を決定づける主役になり得ます。
ソファの上やテレビボードの横の壁など、広い壁面があることが多いので、比較的大ぶりの作品にも挑戦しやすいのが特徴ですね。
リビングに飾る絵は、ぜひ「この部屋のテーマ」を表現するような一枚を選んでみてはいかがでしょうか。
例えば、明るく開放的な雰囲気にしたいなら、色彩豊かな風景画や、ポップな抽象画が空間に活気を与えてくれるでしょう。
逆に、落ち着いたシックな空間を目指すなら、モノトーンの写真や、ミニマルな線で構成されたアートが、洗練された雰囲気を作り出してくれます。
家族みんなが心地よく過ごせるような、そんな一枚を探す時間も、また楽しいものですよ。
玄関:家の第一印象を決める場所
玄関は、家の「第一印象」を決める大切なスペースです。
外出する時に見送ってくれ、帰宅した時に迎えてくれる、そんな場所にお気に入りの絵が飾ってあったら、毎日の気分も少し上がりそうだと思いませんか?
玄関はスペースが限られていることが多いので、小ぶりな作品や、縦長の作品が飾りやすいかもしれません。
お客様の目にも留まりやすい場所なので、少し個性的で話題のきっかけになるようなアートを選ぶのも面白いですね。
例えば、季節ごとに飾る絵を変えてみるのも、暮らしに彩りを添える素敵なアイデアです。
春には花の絵、夏には海の絵、といったように、季節感をアートで表現することで、訪れる人にも楽しんでもらえるおもてなしの心が伝わるように感じます。
寝室:一日の始まりと終わりを共にするプライベートな空間
寝室は、一日の中で最もプライベートで、リラックスするための空間です。
だからこそ、寝室に飾る絵は、誰のためでもなく、自分自身が心から癒されると感じるものを選ぶのが一番です。
刺激的な色遣いのものよりは、心を落ち着かせてくれるような、穏やかな色彩の風景画や、優しいトーンの抽象画などが向いているかもしれません。
ベッドのヘッドボードの上や、サイドテーブルの近くの壁などが、一般的な設置場所として挙げられます。
朝、目覚めた時に最初に目に飛び込んでくるアートが心安らぐものであれば、きっと素敵な一日が始まるはずです。
また、夜眠りにつく前に眺めることで、ゆったりとした気持ちで一日を終えることができるでしょう。
自分の内面と向き合えるような、そんなパーソナルな一枚を見つけてみてください。
このように、場所によって絵画に求める役割や、飾り方のポイントは変わってきます。
まずは難しく考えずに、「ここに飾ったら素敵かも」という直感を大切にしながら、あなたの家の中のお気に入りの場所を探すことから始めてみましょう。
心地よい高さを意識した配置のコツ
さて、飾りたい場所が決まったら、次はいよいよ壁に取り付ける段階ですが、ここで多くの人が悩むのが「高さ」の問題です。
せっかく素敵な絵を選んでも、飾る高さがしっくりこないと、なんだか落ち着かない印象になってしまうことがあります。
高すぎると見上げる形になって首が疲れてしまいますし、低すぎると家具に隠れてしまったり、空間が窮屈に見えたりすることも。
実は、この「高さ」には、多くの美術館やギャラリーでも採用されている、基本的なセオリーがあるんです。
それを知るだけで、絵画の飾り方がぐっとプロフェッショナルな印象になりますよ。
基本は「目線の高さ」を意識する
最も基本的で、そして最も重要なのが、絵の中心が「床から145cm〜150cm」の高さにくるように設置することです。
これは、平均的な成人が立った時の目線の高さ(アイレベル)に近いとされています。
この高さに絵の中心を合わせることで、私たちはごく自然に、最も心地よい角度で作品を鑑賞することができるというわけです。
もしメジャーが手元にあったら、ぜひご自宅の壁で150cmがどのくらいの高さか測ってみてください。
思ったよりも少し低いな、と感じる方もいるかもしれません。
私たちは無意識のうちに、少し高めに飾ってしまう傾向があるようなんですよね。
この「目線の高さ」を意識するだけで、絵が空間にすっと馴染み、安定感のある落ち着いた雰囲気を作り出すことができるので、ぜひ試してみてほしいポイントです。
シチュエーション別の高さ調整
もちろん、この「150cmルール」は絶対ではありません。
大切なのは、その空間で「どのように絵を見るか」を想像することです。
例えば、リビングのソファの後ろに飾る場合を考えてみましょう。
この場所では、立って絵を見るよりも、ソファに座って眺める時間の方が長いと思いませんか?
その場合は、基本の高さよりも少し低め、座った時の目線の高さを意識して設置すると、より自然に見えます。
具体的には、ソファの背もたれから15cm〜20cm程度上部に、絵の下辺がくるように配置すると、バランスが取りやすいと言われています。
同様に、ダイニングテーブルの近くに飾るなら、椅子に座った状態からの見え方を、廊下や玄関ホールなら、立って通り過ぎる際の目線を基準に考えると良いでしょう。
また、天井の高さによっても最適な位置は変わってきます。
天井が高い開放的な空間であれば、少し高めに設置することで、空間の広がりをより強調することができます。
逆に、天井が低い場合は、やや低めに飾ることで、圧迫感を和らげる効果が期待できます。
このように、基本のルールを頭に入れつつも、飾る場所の環境や使い方に合わせて柔軟に調整することが、心地よい空間を作るための秘訣と言えるかもしれませんね。
空間全体のバランスを考えてみよう
場所と高さが決まったら、次に考えたいのが「バランス」です。
これは、絵画そのものの大きさと、飾る壁や周りの家具との関係性のことを指します。
一枚の絵をぽつんと飾るのも素敵ですが、空間全体を見渡した時に、その絵が孤立して見えたり、逆に壁に対して小さすぎたり大きすぎたりすると、少し残念な印象になってしまうことも。
ここでは、空間全体の調和を生み出すための、バランスの考え方について一緒に見ていきましょう。
難しく聞こえるかもしれませんが、いくつかの簡単なコツを掴むだけで、ぐっと洗練された雰囲気になりますよ。
壁の余白を意識する「マージン」の考え方
アートを飾る上で、絵そのものと同じくらい大切なのが、その周りにある「余白」、つまり何もない壁のスペースです。
この余白が、絵を際立たせ、見る人に落ち着いた印象を与えてくれます。
日本の美意識には「間(ま)」という言葉がありますが、それに通じるものがあるかもしれませんね。
壁いっぱいに大きな絵を飾るのも迫力があって素敵ですが、一般的には、壁の面積に対して絵画が占める割合が30%〜40%程度だと、バランスが良く見えると言われています。
つまり、壁の上下左右に、心地よい「呼吸するスペース」としての余白を残してあげることがポイントです。
この余白があることで、視線が自然と絵に集まり、作品の世界に集中しやすくなる効果もあります。
もし飾ってみて「なんだか窮屈だな」と感じたら、それは余白が足りないサインかもしれません。
一度、絵のサイズを測り、壁の面積と比較してみるのも良い方法です。
家具との関係性で決める
ソファやチェスト、ベッドなどの家具の上に絵を飾ることは非常に多いですよね。
この場合、家具とのバランスがとても重要になります。
ここでも一つ、覚えておくと便利な黄金律があります。
それは、「絵の横幅を、その下にある家具の横幅の3分の2程度にする」というものです。
例えば、幅180cmのソファの上に飾るなら、絵の横幅(フレーム込み)は120cmくらいが目安になります。
もちろん、これは厳密なルールではありませんが、この比率を意識すると、家具と絵画が一体となった、安定感のある美しいコーナーを作りやすくなります。
絵が家具よりも大きいと、頭でっかちで不安定な印象になりがちですし、逆に小さすぎると、寂しい雰囲気に見えてしまうことがあります。
もし飾りたい絵がその基準よりも小さい場合は、複数枚を組み合わせて飾ることで、全体のボリュームを調整するというテクニックもありますよ。
家具の中心と絵の中心をしっかり合わせることも、整然とした印象を与えるための大切なポイントです。
このように、ただ壁に飾るのではなく、部屋全体を一つのキャンバスと捉え、家具や余白といった他の要素との関係性を考えることで、あなたの絵画の飾り方は、より一層深みを増していくことでしょう。
インテリアと調和させる額縁の選び方
絵画の魅力を最大限に引き出し、同時にお部屋のインテリアへと自然に溶け込ませてくれる魔法のアイテム、それが「額縁(フレーム)」です。
絵画における額縁は、人間でいうところの「洋服」のようなもの、と言えるかもしれませんね。
どんなに素敵な人でも、場に合わない服を着ていると魅力が半減してしまうように、絵も額縁次第でその印象が大きく変わるのです。
だからこそ、額縁選びは絵画の飾り方の中でも、特に楽しくてクリエイティブなプロセスの一つだと私は思います。
ここでは、お部屋のインテリアと調和する額縁選びのヒントをいくつかご紹介します。
額縁の色で選ぶ
額縁の色は、お部屋の印象を左右する重要な要素です。
迷った時にまず考えたい、基本的なカラーの選び方を見ていきましょう。
- ブラック:シャープでモダンな印象を与えます。絵の色を引き締め、くっきりと際立たせる効果があります。モノトーンのインテリアや、インダストリアルな雰囲気の部屋によく合います。
- ホワイト:クリーンで軽やかな印象になります。壁の色が白であれば、絵が壁に溶け込むように馴染み、圧迫感を与えません。ナチュラル系や、北欧風のインテリアにぴったりです。
- ナチュラル(木目):温かみがあり、優しい雰囲気を作り出します。どんな絵にも合わせやすく、観葉植物など、自然の要素が多い部屋との相性は抜群です。木の家具の色とトーンを合わせると、統一感が出ます。
- ゴールド・シルバー:高級感と華やかさをプラスしてくれます。クラシックな絵画はもちろん、モダンな抽象画にあえて合わせることで、洗練されたアクセントにもなります。アンティーク調のインテリアや、エレガントな空間におすすめです。
選ぶ際のコツは、額縁の色を、部屋の中にある他の色とリンクさせることです。
例えば、クッションやラグ、カーテンの色や、ドアノブや照明器具の金属の色と合わせる、といった具合です。
そうすることで、額縁だけが浮いてしまうことなく、インテリア全体にまとまりが生まれます。
額縁の素材とデザインで選ぶ
色と並んで重要なのが、素材とデザインです。
素材が持つ質感は、空間のテイストを大きく左右します。
例えば、無垢材のフレームはナチュラルで素朴な印象を与えますし、細身で光沢のある金属製のフレームは、ミニマルで都会的な雰囲気になります。
デザインも様々で、装飾のないシンプルなものから、彫刻が施されたデコラティブなものまで幅広く存在します。
シンプルな抽象画にあえて装飾的なフレームを合わせて、ギャップを楽しむという上級テクニックもありますが、最初のうちは、絵のスタイルとフレームのスタイルを合わせるのが無難かもしれません。
また、最近ではフレームに入れず、キャンバスのまま飾る「キャンバスラップ」というスタイルも人気です。
側面まで絵が続いているため、立体的で開放感のある印象になり、モダンなインテリアによく馴染みます。
額縁選びに「これが正解」というルールはありません。
一番大切なのは、あなたがその組み合わせを「素敵だ」と感じることです。
絵と額縁、そしてインテリア、その三者の対話を楽しみながら、あなただけの最高の組み合わせを見つけてみてください。
絵をより魅力的に見せる照明の効果
最後の基本ステップとして、ぜひ注目していただきたいのが「照明」の力です。
美術館で、作品一つひとつがスポットライトで美しく照らされている光景を思い浮かべてみてください。
光は、絵画の色を鮮やかに見せ、描かれた世界の奥行きや立体感を強調し、作品に命を吹き込むかのような効果を持っています。
家庭で美術館のような本格的な照明を取り入れるのは難しいと感じるかもしれませんが、ほんの少し工夫するだけで、絵画の魅力は格段にアップするんですよ。
絵画の飾り方の仕上げとして、照明について一緒に考えていきましょう。
自然光との付き合い方
まず考えたいのが、太陽の光、つまり自然光です。
自然光の下で見る絵は、色が最も忠実に再現され、生き生きとして見えます。
しかし、ここで一つ、非常に重要な注意点があります。
それは、直射日光は絵画にとって大敵であるということです。
強い紫外線は、絵の具や紙、キャンバスの色褪せや劣化を早める原因になってしまいます。
大切なアートを長く楽しむためには、直射日光が当たる壁面は避けて飾るのが賢明です。
もし、どうしても窓の近くにしか飾る場所がない場合は、UVカット機能のあるレースのカーテンを利用したり、アクリル板をUVカット仕様のものに交換したりするなど、対策を講じることをお勧めします。
日中の柔らかい光が差し込む場所に飾られた絵は、時間と共にその表情を変え、私たちを楽しませてくれます。
その移ろいを楽しむのも、アートとの豊かな暮らし方の一つですね。
人工照明でドラマチックに演出する
夜間や、自然光が届きにくい場所では、人工照明の出番です。
絵画を照らすための照明には、いくつかの種類があります。
- スポットライト(ピクチャーライト):最も代表的なのが、絵画専用のスポットライトです。壁や天井に取り付けて、光を直接絵に当てることで、作品をくっきりと浮かび上がらせ、空間にメリハリを生み出します。まるでギャラリーのような、特別な雰囲気を演出したい場合に最適です。
- ダウンライトやシーリングライト:天井に埋め込まれたダウンライトや、部屋全体を照らすシーリングライトを利用する方法もあります。この場合、光の角度を調整できる「ユニバーサルダウンライト」を選ぶと、狙った場所に光を届けやすくなります。
- 間接照明:スタンドライトやフロアランプなどの間接照明を絵の近くに置くのも、手軽で効果的な方法です。柔らかい光が絵の周囲を照らし、穏やかでムーディーな雰囲気を作り出してくれます。絵を直接照らすのではなく、壁に光を当てて、その反射光でふんわりと見せるのも素敵ですね。
照明を選ぶ際には、光の色(色温度)も大切です。
温かみのあるオレンジ色の光(電球色)はリラックスした雰囲気に、白く爽やかな光(昼白色)は作品の細部をクリアに見せる効果があります。
お部屋のムードや、絵の雰囲気に合わせて選ぶと良いでしょう。
照明一つで、見慣れたはずの絵が、まったく新しい表情を見せてくれることがあります。
その驚きと発見も、アートを飾る大きな喜びの一つだと私は感じます。
実践で役立つ絵画の飾り方の応用アイデア
- 複数枚の絵をリズミカルに飾る方法
- 賃貸でも安心な壁に優しい飾り方
- 思わず真似したくなるおしゃれな飾り方
- 壁の色や素材で絵の印象は変わる
- まとめ:自由な発想で楽しむ絵画の飾り方
複数枚の絵をリズミカルに飾る方法
一枚の絵を大切に飾るのも素敵ですが、お気に入りのアートが少しずつ増えてくると、「複数枚を一緒に飾ってみたい」という気持ちが芽生えてくることがありますよね。
複数の絵を組み合わせる飾り方は「ギャラリーウォール」とも呼ばれ、壁面をより豊かで個性的な表情にしてくれる、とても楽しいテクニックです。
しかし、ただやみくもに並べただけでは、雑然とした印象になってしまうことも。
ここでは、複数の絵をリズミカルで、かつ調和のとれた形で飾るためのアイデアをいくつかご紹介したいと思います。
まるで音楽を奏でるように、壁にリズムを生み出していきましょう。
テーマやカラーで統一感を出す
大きさや形の違う絵を複数飾る際に、まず意識したいのが「統一感」です。
全体をまとめるための「共通項」を見つけることが、成功への近道となります。
例えば、以下のようなテーマで揃えてみるのはいかがでしょうか。
- 色を揃える:全ての絵に共通のキーカラー(例えば青)が含まれているものを集める、あるいはモノトーンの作品だけで構成するなど、色で統一感を出すと、洗練された印象になります。
- テーマを揃える:植物の絵ばかりを集めたり、旅先の風景写真でまとめたり、あるいはポートレートだけで構成したりと、描かれているモチーフやテーマで揃えるのも一つの方法です。
- アーティストを揃える:好きなアーティストの作品をいくつか並べて飾るのも、統一感が出て素敵です。
- 額縁を揃える:中に入れる絵がバラバラでも、額縁の色や素材、デザインを全て同じものにすると、それだけで全体に一体感が生まれます。これは最も手軽で効果的な方法の一つです。
もちろん、これらはあくまで一例です。
あなただけのオリジナルのテーマを見つけて、コレクションを組み立てていくのも、ギャラリーウォールの醍醐味ですね。
基本のレイアウトパターン
では、具体的にどのように配置すればよいのでしょうか。
代表的なレイアウトパターンをいくつか見てみましょう。
1. グリッド(格子)状レイアウト
同じサイズ、同じ額縁の絵を、縦横の間隔をきっちりと揃えて、格子状に並べる方法です。
非常に整然としていて、フォーマルでクリーンな印象を与えます。
ホテルのロビーや、モダンなオフィスのようで、とてもスタイリッシュですよね。
配置する際には、水準器などを使って、水平・垂直がずれないように慎重に作業するのが美しく仕上げるコツです。
2. センターラインを揃えるレイアウト
大きさや形の違う絵を飾る際に、とても役立つのがこの方法です。
まず、壁の水平方向、または垂直方向に、目に見えない一本の「中心線」を引きます。
そして、その線上に各絵画の中心が来るように、あるいは線の上辺や下辺に絵を沿わせるように配置していきます。
これにより、一見ランダムに飾られているようでも、どこかに基準となるラインが存在するため、不思議とまとまりのある、安定した印象に見えるのです。
3. サロン風(アシンメトリー)レイアウト
19世紀のパリのサロンで流行した、壁一面に大小様々な絵を不規則に飾るスタイルです。
自由でアーティスティックな雰囲気があり、上級者向けのテクニックとも言えますが、コツを掴めばとても魅力的な空間になります。
成功させるポイントは、まず一番大きく、主役となる絵を最初に飾り、その周りに小さな絵を付け足していくように配置することです。
全体のバランスを見ながら、絵と絵の間隔をある程度均等に保つように意識すると、雑然としすぎるのを防げます。
実際に壁に飾る前に、床の上で一度全ての絵を並べてみて、全体の配置を決めてから作業を始めると失敗が少ないですよ。
新聞紙などで絵と同じ大きさの型紙を作り、壁にマスキングテープで貼り付けてシミュレーションするのも、とても有効な方法です。
複数の絵の飾り方は、あなたの個性やセンスを最も表現できる、楽しいパズルのようなもの。
ぜひ恐れずに、自由に楽しんでみてください。
賃貸でも安心な壁に優しい飾り方
「アートを飾りたいけれど、うちは賃貸だから壁に穴を開けられない…」と、諦めてしまっている方も少なくないのではないでしょうか。
壁に釘やネジを打つことに抵抗があるのは、賃貸住宅にお住まいの方に限ったことではありませんよね。
私も、壁に穴を開ける瞬間は、何度やっても少しだけ勇気がいります。
でも、安心してください。
最近では、壁を大きく傷つけることなく、絵画の飾り方を楽しむための便利なアイテムや、素敵なアイデアがたくさんあるんです。
これらを知れば、きっとあなたのお部屋でも、もっと気軽にアートを取り入れられるようになるはずです。
壁を傷つけにくいフックやピンを活用する
まずご紹介したいのが、壁へのダメージを最小限に抑えてくれる、画期的なフックやピンの数々です。
・粘着タブ式のフック
壁に強力な粘着タブで貼り付け、剥がす時には壁紙を傷つけずにキレイに剥がせるというタイプのフックです。
様々なサイズや耐荷重のものがあり、軽いフレームであれば、これで十分対応できます。
ただし、壁紙の種類によってはうまく接着しなかったり、剥がす際に傷めてしまったりする可能性もゼロではないので、目立たない場所で試してから使うとより安心ですね。
・細いピンで固定するフック
石膏ボードの壁に、画鋲よりもさらに細いステンレス製のピンを数本、斜めに打ち込むことで固定するタイプのフックです。
抜いた後の穴が非常に小さく、ほとんど目立たないのが最大のメリットです。
クロスで隠れてしまえば、どこに穴があったか分からなくなるほどです。
コインなどを使って簡単に取り付けられるものが多く、耐荷重も数kgあるものが一般的なので、多くの絵画に対応できます。
これは、賃貸住宅で絵を飾りたいと考えている方にとって、最も心強い味方の一つと言えるかもしれません。
「立てかける」という発想の転換
壁に掛けることだけが、絵画の飾り方ではありません。
「立てかける」という、もっと自由で気軽な方法も、とてもおしゃれな選択肢の一つです。
床に直接、大きめのキャンバスアートを無造作に立てかけるだけで、まるで海外のアトリエのような、こなれた雰囲気を演出できます。
また、チェストやキャビネット、本棚の上などに、小さな絵を立てかけるのも素敵です。
雑貨や植物、照明などと一緒に飾ることで、立体感のある魅力的なディスプレイスペースを作り上げることができます。
この方法のいいところは、気分に合わせていつでも気軽に場所や絵を変えられること。
季節ごとに飾るアートを変えたり、新しいアートを手に入れた時にレイアウトを試行錯誤したりするのも簡単です。
壁に固定しないからこその、その自由さが魅力ですね。
ピクチャーレールを導入する
もし、これからたくさん絵を飾りたい、そして頻繁に掛け替えたいと考えているのであれば、「ピクチャーレール」の導入を検討してみるのも良い方法です。
ピクチャーレールとは、天井や壁の高い位置に取り付けるレールのことで、そこからワイヤーを吊るし、好きな位置にフックを移動させて絵を掛けることができるシステムです。
一度レールを設置してしまえば、あとは壁に一切穴を開けることなく、自由に絵の高さや位置を変えることができます。
取り付けには専門の業者に依頼するか、DIYで行う必要がありますが、その価値は十分にあります。
最近では、賃貸住宅向けに、突っ張り棒の仕組みを応用した、壁を傷つけないタイプのピクチャーレールも登場しているようです。
このように、工夫次第で壁への心配は解消できます。
「飾れない」という思い込みから自由になって、あなたらしいアートの楽しみ方を見つけてみませんか?
思わず真似したくなるおしゃれな飾り方
基本的な飾り方をマスターしたら、次はもう少しだけ冒険して、自分らしい個性を表現してみたくなりますよね。
絵画の飾り方には、決まったルールがあるわけではありません。
少し視点を変えるだけで、アートはもっと私たちの暮らしに寄り添い、日々に新しい発見や喜びを与えてくれる存在になります。
ここでは、私がこれまでリサーチしてきた中で「これは素敵だな」「思わず真似してみたいな」と感じた、少しユニークでおしゃれな飾り方のアイデアをいくつかシェアしたいと思います。
あなたの創造力を刺激するヒントが、この中に見つかるかもしれません。
アートと他のアイテムをミックスして飾る
壁に飾るのは、なにも絵画だけとは限りません。
あなたの好きなもの、例えば、デザインの美しいお皿や、旅先で見つけた民芸品、形の面白い流木、あるいは、お気に入りの帽子やアクセサリーなどを、絵画と一緒に壁にディスプレイしてみるのはいかがでしょうか。
異なる素材や形、ジャンルのものを組み合わせることで、壁面全体にリズムと物語が生まれます。
これを「ミックスドメディア・ウォール」と呼ぶこともあります。
ポイントは、ギャラリーウォールを作る時と同じように、色やテーマでなんとなくの統一感を持たせることです。
例えば、自然をテーマにするなら、植物画の隣に押し花のフレームや鹿の角のオブジェを飾ったり、といった具合です。
あなたというフィルターを通して集められたモノたちが、一つの空間で共演する様は、まさにあなただけのオリジナルなアート作品と言えるでしょう。
シェルフやニッチを小さなギャラリーにする
壁に直接掛けるのではなく、ウォールシェルフ(壁付けの棚)や、壁のくぼみであるニッチを利用するのも、とてもおしゃれな方法です。
奥行きのあるシェルフの上に、小さなフレームに入った絵をいくつか、前後に重ねるようにして無造作に置くだけで、こなれた雰囲気が生まれます。
その隣に小さな一輪挿しや、キャンドル、お気に入りのオブジェなどを添えれば、そこはもうあなただけの小さなギャラリースペースです。
この飾り方の良いところは、立体的なディスプレイが楽しめること、そして、壁にたくさんの穴を開ける必要がないことです。
季節や気分に合わせて、棚の上のディスプレイを丸ごと変えるのも簡単なので、模様替えが好きな方には特におすすめしたいアイデアですね。
あえて床に置く、という選択
先ほどの「立てかける」という話にも通じますが、特に大きなサイズのキャンバスアートなどは、あえて壁に掛けずに、床に直接「置く」という飾り方も、非常にスタイリッシュな印象を与えます。
壁に立てかけるようにして置くことで、空間に抜け感が生まれ、まるで海外のアーティストのアトリエのような、リラックスした雰囲気を演出することができます。
この時、周りの家具などをシンプルに保ち、アートが主役になるように空間を整えるのが成功のコツです。
アートを「壁に掛けるもの」という固定観念から解放してあげるだけで、飾り方の可能性はぐっと広がります。
大切なのは、常識にとらわれず、「自分が心地よいか」「自分が美しいと感じるか」という基準を大切にすること。
ぜひ、自由な発想で、あなただけの飾り方を探求してみてください。
壁の色や素材で絵の印象は変わる
絵画の飾り方を考える時、私たちはつい、絵そのものや額縁、飾り方にばかり意識が向きがちです。
しかし、実はその絵を受け止める「壁」こそが、空間全体の印象を決定づける、非常に重要なキャンバスの役割を果たしているんですよね。
壁の色や素材が変わるだけで、同じ絵でもその見え方は驚くほど変化します。
例えるなら、料理における「お皿」のような存在でしょうか。
お皿の色や形で、料理の魅力が引き立ったり、逆に損なわれたりするように、壁もまた、アートの魅力を最大限に引き出すための、大切なパートナーなのです。
ここでは、壁がアートに与える影響について、一緒に見ていきたいと思います。
壁の色がアートに与える影響
壁の色は、アートの見え方に直接的な影響を与えます。
代表的な壁の色と、それが作り出す効果について考えてみましょう。
・白い壁
最も一般的で、どんなアートも受け止めてくれる万能な壁色です。
美術館やギャラリーが白い壁を採用していることが多いのも、作品そのものの色や形に鑑賞者の意識を集中させるためです。
白い壁は、アートの色を鮮やかに引き立て、空間全体を明るく、広く見せてくれる効果があります。
まさに、アートを飾るための基本のキャンバスと言えるでしょう。
・グレーやベージュの壁
白に近いですが、少しだけ色味のあるグレーやベージュ、グレージュといったニュートラルカラーの壁は、空間に柔らかさと落ち着きを与えてくれます。
白い壁ほどアートをくっきりと際立たせることはありませんが、その分、アートが空間に優しく溶け込み、洗練された調和のとれた雰囲気を作り出してくれます。
特に、ナチュラルなインテリアや、シックでモダンな空間を目指す場合に、非常に相性の良い壁色です。
・ダークカラー(濃紺、深緑、チャコールグレーなど)の壁
濃い色の壁にアートを飾るのは、少し勇気がいるかもしれませんが、成功すれば非常にドラマチックで印象的な空間になります。
暗い背景に、明るい色調の絵や、照明を当てられた絵が浮かび上がる様は、まるで夜の美術館のようです。
空間全体に重厚感と深みを与え、飾られたアートに特別な存在感をもたらします。
リビングの一面だけをアクセントウォールとしてダークカラーにするのも、挑戦しやすい方法ですね。
壁の素材感(テクスチャー)との組み合わせ
壁の「色」だけでなく、「素材感(テクスチャー)」もまた、アートの印象を豊かにしてくれます。
例えば、打ちっぱなしのコンクリートの壁は、それ自体に強い個性と存在感があります。
そんな無機質でクールな壁に、色彩豊かな抽象画や、ストリートアートのようなポップな作品を飾ると、お互いの魅力が引き立て合い、非常にスタイリッシュな空間が生まれます。
また、温かみのあるレンガの壁や、素朴な塗り壁、木の板を貼った壁なども同様です。
素材が持つ独特の風合いと、アートが響き合うことで、一般的なビニールクロスの壁にはない、深みと個性が生まれるのです。
もし、壁紙の張り替えやリフォームを考えている方がいらっしゃれば、ぜひ「アートを飾ること」を前提に、壁の色や素材を選んでみてはいかがでしょうか。
壁という大きなキャンバスからデザインを始めることで、あなたの家の絵画の飾り方は、もっと自由で、もっと創造的なものになるはずです。
まとめ:自由な発想で楽しむ絵画の飾り方
ここまで、絵画の飾り方について、基本的な考え方から少し応用的なアイデアまで、様々な角度から一緒に探求してきました。
場所や高さ、バランス、そして照明や額縁、壁との関係性。
たくさんのポイントがあり、少し頭が混乱してしまった方もいるかもしれませんね。
でも、私が最終的にお伝えしたいのは、たった一つの、とてもシンプルなことです。
それは、「絵画の飾り方に、絶対的な正解はない」ということです。
これまでご紹介してきた数々のルールやセオリーは、あくまで、あなたが道に迷った時にそっと背中を押してくれる、コンパスや地図のようなもの。
それらは、美しい景色が待っている場所への行き方を示してはくれますが、どこへ旅するか、どんな道を選ぶかを決めるのは、他の誰でもない、あなた自身なのです。
美術館の展示は、確かに美しく、完成されています。
しかし、私たちの家は美術館ではありません。
日々の暮らしがあり、そこに住む人の個性や想いが息づく、もっと温かくてパーソナルな場所です。
だから、セオリーから少し外れていたとしても、あなたがその飾り方を「心地よい」と感じるなら、それがあなたにとっての最高の正解なのだと、私は思います。
例えば、目線の高さよりもずっと低い位置に、お気に入りの小さな絵を飾ってみるのも面白いかもしれません。
床に座ってリラックスする時に、ちょうど目線の先にその絵がある、というのも、とてもパーソナルで素敵な関係性だと思いませんか?
あるいは、あえて統一感のない、バラバラの額縁に入った絵を並べて、そのカオスな感じを楽しむのだって、立派な自己表現の一つです。
大切なのは、難しく考えすぎずに、まずは一枚、飾ってみること。
そして、その絵のある暮らしを実際に体験してみることです。
飾ってみて、「なんだか違うな」と感じたら、また別の場所や方法を試せばいいのです。
その試行錯誤のプロセス自体が、アートとの対話であり、あなた自身の感性を探る旅でもあります。
絵画の飾り方を探求する旅は、あなただけの空間を、もっと愛おしい場所に変えていくクリエイティブな冒険です。
どうか、ルールに縛られず、あなたの心を信じて、自由な発想でアートとの暮らしを楽しんでください。
この記事が、その冒険の、ささやかなきっかけとなれたなら、私にとってこれほど嬉しいことはありません。
- 絵画の飾り方はまず飾る場所を決めることから始まる
- リビングや玄関など場所の役割で選ぶ絵は変わる
- 絵の中心を床から145-150cmの高さに合わせるのが基本
- ソファに座って見るなど状況に応じた高さ調整も大切
- 壁の余白や家具とのバランスが空間の調和を生む
- 絵の横幅は下にある家具の幅の3分の2が目安
- 額縁はインテリアの色や素材とリンクさせると統一感が出る
- 直射日光は絵を傷めるため避けて飾ることが重要
- スポットライトや間接照明で絵はより魅力的に見える
- 複数の絵は色やテーマを揃えると飾りやすい
- ギャラリーウォールはまず床で配置を試すのがコツ
- 賃貸では細いピンのフックや立てかける方法が有効
- ピクチャーレールは壁を傷つけず自由な配置を可能にする
- 絵と他の雑貨を混ぜて飾るのもおしゃれなテクニック
- 壁の色や素材も絵の印象を大きく左右する大切な要素
- 最も重要なのはルールより自分の心地よさを信じること