抽象画の描き方|初心者の道具・技法・アクリル【始め方】

結論:抽象画の描き方に決まった正解はありません。初心者なら、①キャンバス・アクリル絵の具・筆3本から始め、②色や形を重ねる感覚で試し、③ドリッピングテクスチャーなど遊び心のある技法を足していくのがおすすめです。上手さより、続けて自分の表現を見つけることが大切です。

「抽象画って難しそう」「何から揃えればいい?」「アクリルでいいの?」——よくある疑問に、この記事で順に答えます。

抽象画の描き方|要点
  • 始め方: 小さめキャンバス+アクリル+筆3本で十分
  • アクリル: 乾きが早く重ね塗りしやすい。水で洗える
  • アイデア: 感情を色にする・音楽を聴く・偶然を楽しむ
  • 技法: ドリッピング、ポーリング、スパッタリング、コラージュ
  • 色: 補色・類似色・トーンで雰囲気を決める
  • 仕上げ: 飾る高さは目線(床から145〜150cm目安)
この記事で分かる事、ポイント
  • 初心者向けの道具リスト(必須とあると便利なもの)
  • アクリル絵の具が向く理由
  • 描き始める前のアイデア・テーマの出し方
  • ドリッピングなど簡単な抽象画の技法
  • 色の組み合わせのコツ
  • 有名画家からインスピレーションを得るヒント
  • 完成した作品を部屋に飾るポイント
よくある質問
  • 抽象画の描き方とは? — リンゴや人物のように形を再現せず、色・線・質感で表現する描き方。ルールが少ないぶん、試行錯誤で進められます。
  • 初心者は何から買えばいい? — キャンバス(F3号など小さめ)、アクリル絵の具、筆3本、パレット、水入れ、雑巾で始められます。詳しくは下の道具リストへ。
  • 油絵とアクリル、どちらがいい? — 抽象画を気軽に始めるならアクリルが向きやすいです。乾きが早く、重ね塗りや修正がしやすいからです。油絵の道具や塗り方は油絵の書き方の記事でまとめています。
  • 何を描けばいいかわからない — 完璧な構図を考えず、今の気分の色を置く・音楽に合わせて線を動かす・絵の具を垂らして形を見つける、からで大丈夫です。

※記事内の制作イメージ写真は説明用です。

初心者が揃える道具

この章のポイント
  • 最初は最低限の画材で十分
  • アクリル絵の具が扱いやすい
  • パレットナイフは質感づくりに便利

抽象画の描き方 道具

抽象画を描きたいとき、まず気になるのが道具ではないでしょうか。画材店には種類が多く、全部揃えようとすると迷います。最初はこれだけで始めて、慣れたら足していく形で十分です。

必ず揃えたい基本の道具

  1. キャンバス — 練習ならS.M.サイズやF3号など小さめ。机の上でも扱いやすい
  2. アクリル絵の具 — 初心者向けの12色セットなど。次項でおすすめ理由を説明
  3. — 太・中・細の3本あれば多くの表現が試せる
  4. パレット — 紙パレットは後片付けが楽。牛乳パックの代用も可
  5. 水入れ — 空き瓶やコップで可
  6. 雑巾・キッチンペーパー — 筆の水切り、飛び散りの拭き取り、テクスチャーにも使える

あると表現の幅が広がる道具

パレットナイフは、筆では出しにくい盛り上がりや硬い線が出せます。絵の具をのせて広げるだけでも、偶然の表情が生まれやすい道具です。

  • ジェッソ — 下地を塗ると発色がよくなる
  • メディウム — 光沢・乾燥時間・厚みの調整
  • イーゼル — 全体を見ながら描きたいときに便利(机でも可)

アクリル絵の具が向く理由

油絵・水彩・アクリルと種類はありますが、抽象画を気軽に始めるならアクリルが向きやすいです。油絵の基本は油絵の書き方の記事をご覧ください。

  • 乾きが早い — 数分〜数十分で上塗りできる。勢いを止めにくい
  • 水で洗える — 筆・パレットの後片付けが簡単(乾くと耐水になるので、作業中はこまめに洗う)
  • 厚塗り・薄塗りの両方 — そのまま厚く塗る、水で薄くて水彩風にする、など幅がある

服に付くと落としにくいので、汚れてもよい服装で、パレットは使い終わりに洗う習慣をつけると安心です。

描き始める前のアイデア出し

抽象画 描き方 アイデア

真っ白なキャンバスの前で手が止まることはよくあります。抽象画はお手本がないぶん、自由すぎて戸惑うこともあります。完璧な完成図を頭に描くより、小さなきっかけから始めるのがおすすめです。

心の中にあるものを色にする

  • 感情を色にする — 「穏やかなら水色」「モヤモヤならグレー」など、今の気分の色をまず置く
  • 言葉から連想する — 「光」「風」「繋がり」など、心に残る言葉を形や線で表す

上手く描こうとしなくて大丈夫です。浮かんだ色や形をそのまま載せるだけで、作品の始まりになります。

五感や偶然からヒントを得る

  1. 音楽を聴きながら描く — リズムや静けさを線や色で表す
  2. 自然の模様を借りる — 木皮・葉脈・石の模様を、そのままではなく形だけ取り入れる
  3. 偶然を楽しむ — 目を閉じて色を選ぶ、絵の具を垂らしてから形を見つける

テーマの見つけ方

断片のアイデアを一つの作品にまとめるテーマは、身近な体験や言葉から見つかることが多いです。

  • 感動した瞬間 — 雨上がり、会話、一杯のコーヒーなど、そのときの「空気感」を色で閉じ込める
  • コンセプト — 「調和と対立」なら、似た色のなめらかな面と、補色を並べた鋭いコントラストで表す、など

テーマは一つに絞る必要はありません。スケッチブックに色や形でメモしていくと、あとで作品につながりやすいです。

簡単な技法(ドリッピング・テクスチャー)

抽象画 技法 ドリッピング

抽象画は技法の訓練がなくても、直感的に試せる方法が多いです。床や壁が汚れないよう、ビニールシートを敷いてから挑戦してください。

ドリッピングとポーリング

  • ドリッピング — 薄めたアクリルを筆やスティックから垂らす。ジャクソン・ポロックの作風で知られています
  • ポーリング — 紙コップに色を入れてキャンバスに流し、傾けて混ぜる。マーブル模様が一期一会で生まれる

テクスチャー(スパッタリング・コラージュ)

平面のキャンバスでも、厚塗りや異素材で触覚的な質感を出せます。

  1. スパッタリング — 歯ブラシなどに絵の具をつけ、はじいて細かい飛沫を飛ばす
  2. コラージュ — 新聞・布・砂などを貼り付け、絵の具だけでは出ない面をつくる。ミクストメディアの入門にも近い技法です(ミクストメディアとは

厚塗りやコラージュでテクスチャーを出す練習では、完成作のクローズアップを一度見ておくと、層の重なりや線の質感がイメージしやすくなります。


Asahi Tanaka, Tartan, Matrix series, layered grid texture detail
出典: 抽象画家 Asahi Tanaka「Tartan」(Matrix)— 重ね塗りと線の質感の参考例(クリックで作品ページへ)

参考として、抽象画家 Asahi Tanaka の作品「Tartan」では、青い縦線と白い横線が重なり、削った跡やクレヨンの線が層として残っています。遠くではチェックのような整った印象でも、近くでは一枚一枚の筆致の差がはっきりする——構図は抑えめに、質感で差をつける練習のヒントになります。

スポンジで叩く、ラップを押し付ける、ナイフで削るなど、身の回りのもので試してみるのも有効です。「これでどうなる?」という好奇心が、自分だけの描き方につながります。

色の組み合わせのコツ

抽象画 色 配色

形がはっきりしない抽象画では、色そのものがメッセージになります。理論をすべて覚える必要はありませんが、次の基本を知ると試しやすくなります。

  • 暖色(赤・オレンジ・黄)— エネルギー、暖かさ、活気
  • 寒色(青・緑・紫)— 静けさ、落ち着き、奥行き
  • 補色 — 色相環の反対色。鮮やかでコントラストが強い
  • 類似色 — 隣り合う色。まとまりがあり穏やか
  • トーンを揃える — 淡い色だけ、暗い色だけ、で統一感が出る

最後は「この組み合わせ、心地いい」という感覚を信じてよいです。パレットで混ぜながら試すのがいちばん早いです。

有名画家からインスピレーションを得る

過去の抽象画家の作品は、描き方の引き出しを増やす資料になります。真似するのではなく、「なぜこの色?」「この線は何をしている?」と問いかける見方が向いています。

  • カンディンスキー — 音楽のように色と形を響かせる。音楽を聴きながら描く練習に
  • ジャクソン・ポロック — 身体の動きそのものが画面になる。ドリッピングの参考に
  • マーク・ロスコ — 2〜3色の大きな面で感情を伝える。色だけの構成の練習に

鑑賞の入門は有名な抽象画とはの記事も参考にしてください。

完成した作品を飾る

抽象画 飾り方

自分で描いた作品は、飾ることで日常の一部になります。ポイントは次のとおりです。

  • 高さ — 立って見たとき、絵の中心が目線(床から145〜150cm目安)
  • 家具とのバランス — ソファ上なら、絵の幅が家具幅の約2/3程度が目安
  • 複数枚 — ギャラリーウォールは床に並べてから壁に移すと失敗が少ない。3枚の配置は3枚の絵の飾り方

自分らしい作品に近づくコツ

  • 「失敗」を手放す — 意図と違う色や線は、新しい発見になりやすい
  • 描き足しすぎない — 「もう十分」と感じたら一度離れ、翌日見直す
  • シリーズで描く — 同じテーマをサイズや色違いで繰り返すと、自分の傾向が見えやすい

まとめ

抽象画の描き方 まとめ

抽象画の描き方は、技術より続けること感覚を信じることが中心です。小さなキャンバスとアクリルから、色を重ね、技法を一つずつ試していけば十分です。美術の成績や「才能」より、今日一筆描いてみることが、いちばん確かな始め方です。

この記事のまとめ
  • 抽象画の描き方に正解はなく、誰でも始められる
  • キャンバス・アクリル・筆3本から十分
  • アクリルは乾きが早く重ね塗り向き
  • 感情・音楽・偶然からアイデアを出せる
  • ドリッピング・テクスチャーは遊び心で試せる
  • 補色・類似色・トーンで配色が整う
  • 完成品は目線の高さに飾ると見やすい
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